特長
耐食性・耐摩耗性・寸法制度・ハンダ付け性などにすぐれた代表的な機能めっきです。
無電解ニッケルめっきは、外部電源を用いない化学還元法により、複雑な形状の製品にも耐食性のよいめっきを均一な膜厚で施すことが出来るため、特に高精度 の膜厚管理を要求される部品に適した表面処理です。また、無電解ニッケルめっきは皮膜硬度が析出状態で約550Hv、熱処理(350゜C×1時間)をすることにより約850Hvまで硬化するため、耐摩耗性を求める部品にも多く使用されています。
弊社では、電子制御方式によるめっき液自動管理装置を導入し、無電解ニッケルめっき液のサンプリングから分析・補給に至るまでをコンピュータで制御し、 めっき液の連続使用(0~6MTO)において、要求膜厚に対して常に±10%以内の精度の高い膜厚管理を実現しています 。
また、標準的な中高リン(P=10〜12wt%)タイプの無電解ニッケルめっきの他に、低リン(P=2〜3wt%)タイプや、フッ素樹脂(PTFE)を分散・共析させた「フッ素潤滑めっき」、「黒色無電解ニッケルめっき」など豊富なバリエーションを用意しております。
仕様・特性
特性 | 中高リン浴タイプ(Ni−P) | 低リン浴タイプ | |
---|---|---|---|
A仕様注1 | B仕様注1 | ||
Ni | 87.5〜88.5wt% | 88.5〜89.5wt% | 97〜98wt% |
P | 11.5〜12.5wt% | 10.5〜11.5wt% | 2〜3wt% |
密度(析出状態) | 7.6g/cm3 | 7.7g/cm3 | 8.7 g/cm3 |
硬度(析出状態) | 約510HV | 約530HV | 約700HV |
硬度(熱処理後)注2 | 約800HV | 約850HV | 約850HV |
磁性 | 非磁性(析出状態) | 非磁性(析出状態) | 磁性 |
熱膨張係数 | 1.3×10^5cm/cm/℃ | 1.3×10^5cm/cm/℃ | |
溶融点 | 約890℃ | 約890℃ | 約1300℃ |
熱伝導度 | 0.04〜0.06J/cm/sec/℃ | 0.04〜0.06J/cm/sec/℃ | |
電気抵抗 | 150〜200μΩ/cm/c㎡ | 約100μΩ/cm/c㎡ | 10〜30μΩ/cm/c㎡ |
外観光沢 | 半光沢〜無光沢 | 半光沢 | 半光沢 |
注1:A仕様、B仕様は弊社内における仕様です。基本的な物性はほとんど変わりませんが、用途によってはお勧めする仕様が異なる場合があります。詳しくは弊社製造部までご相談ください。
注2:中高リン浴は350℃×1時間、低リン浴は300℃×1時間の際のデータです。
用途・応用例
応用例 | 用途 |
---|---|
半導体製造装置・液晶製造装置・HDD | 耐食性、耐摩耗性、防汚性、膜均一性、非磁性 |
各種電気部品、電子部品 | はんだ性、導電性、耐食性、耐摩耗性、非磁性 |
自動車部品、輸送機器部品 | 耐食性、耐摩耗性、加飾性 |
バルブ、配管部品 | 耐食性、耐摩耗性、膜均一性、防汚性、非磁性 |
光学部品、精密機械部品 | 耐食性、耐摩耗性、膜均一性、防汚性 |
金型部品 | 耐摩耗性、膜均一性 |
※鉄、銅合金などはもちろん、ステンレス鋼、アルミ合金、アルミダイカストへもめっき可能です!